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鎌倉

鎌倉時代の面影を感じる!鎌倉五山巡りの魅力

鎌倉を歩いていると、そこかしこに感じられるのが中世の空気。特に「鎌倉五山」と呼ばれる五つの禅宗寺院を巡ると、静かな境内や苔むした石畳に、ふと時の流れを忘れる瞬間があります。この記事では、鎌倉五山の歴史的背景と、それぞれの寺院が持つ個性について紹介します。

禅宗とともに築かれた鎌倉五山の歴史

鎌倉五山とは、鎌倉時代に幕府が定めた五つの主要な禅宗寺院を指します。この制度は、中国の宋の五山制度を参考にしており、幕府の宗教政策の一環として整えられました。幕府は禅宗を保護しながらも支配しようとしていたため、宗派の中でも重要な寺院を序列化することで、信仰の広がりと政治的安定を図ったとされています。

第一位とされたのは建長寺。これは日本初の本格的な禅宗寺院で、宋から渡来した蘭渓道隆が開山しました。次いで、元寇で命を落とした人々の慰霊のために開かれた円覚寺が第二位。第三位の寿福寺は、源頼朝の正室・北条政子によって建立されました。さらに、第四位の浄智寺、第五位の浄妙寺と続きます。いずれも鎌倉時代の文化や権力のあり方を今に伝える存在です。

五つの寺に宿る、それぞれの趣とたたずまい

建長寺は広々とした境内が印象的で、総門から仏殿へと続く一直線の参道が心を整えてくれます。仏殿には巨大な地蔵菩薩が祀られており、訪れる人の目を引きます。裏手の半僧坊へ登れば、鎌倉の街並みと海が一望できる眺めも楽しめます。

円覚寺は秋の紅葉の美しさでも知られ、国宝の舎利殿はとくに人気があります。境内は段差を生かした造りで、歩くだけでも変化に富んだ風景に出会えます。寿福寺は表通りから一本奥まった場所にあり、ひっそりとした雰囲気が魅力です。境内には苔むした墓地が広がり、源頼朝や北条政子の墓所と伝わる場所も。

浄智寺は山裾に寄り添うように建ち、布袋尊の像が笑顔で迎えてくれます。浄妙寺には茶室「喜泉庵」があり、抹茶と和菓子を楽しみながら庭園を眺めるひとときが過ごせます。五山はいずれも、ただの観光地ではなく、心を落ち着かせる場所として親しまれているのです。

歴史と自然を感じながら歩く鎌倉五山めぐり

五山はいずれも鎌倉市内にあり、徒歩やバスを組み合わせて一日で巡ることも可能です。建長寺と円覚寺は北鎌倉駅から徒歩圏内で、寿福寺も鎌倉駅から歩いて行けます。浄智寺や浄妙寺も近くにあり、それぞれの道中には古道や小さな茶店、歴史的な石碑なども点在しています。

巡る順番に決まりはありませんが、朝から出かけて順番に訪れると、禅の精神に少しずつ触れていくような流れを感じられます。途中、境内のベンチでひと息ついたり、茶屋で休憩したりしながら、のんびり歩くのがおすすめです。各寺の御朱印を集める楽しみもあり、季節ごとの風景を写真に収める人も少なくありません。

鎌倉五山をめぐることは、単なる観光以上の意味を持ちます。かつての人々が歩いた道をたどりながら、自然と歴史に囲まれた時間を過ごす——そんな贅沢な体験が、今も鎌倉には息づいています。